研究内容
-
問題の所在
高齢化や長寿化により総人口に占める成人層の増加に伴い、青少年型社会から成人型社会へと重点がシフトしており、成人学習の内容や学習の場の社会的充実は喫緊の課題となっている。
一方、成人の年齢幅は広範であり、その置かれた社会的文脈において学習のニーズ、学習形態、適切な学習環境がそれぞれ異なると推定されるが、米国等(e.g. U.S. Department of Education, National Center for Education Statistics)に比べてわが国では属性(年齢・性別・職業・婚姻形態・子どもの有無・年収など)ごとの詳細なデータ取得や分析は行われることが少なく、成人に関する基幹統計がなく実態把握が困難な状況がある。
個人の自発性に依拠し多様な学習ニーズがあると推察される成人期の学習において、個別の文脈に即した成人学習環境の適切な整備のためには、成人の属性ごとにセグメント化した特徴を詳細に検討し、各層ごとにターゲッティングした戦略的ビジョンの提示が求められる。
本研究は、このような問題関心から、米国での先行的調査研究の枠組みを参考に調査票を設計し、成人の学習ニーズ、学習行動、必要とされる学習支援などについて、属性ごとの成人学習者の特徴の把握と類型化を試みる。その上で成人期に学習する者と学習しない者の格差が経済状況や生活の質に影響すると推察されることから、成人期の学習に対する支援ニーズを特定、公的環境整備の必要性を提示することを射程とする。 -
研究の目的
調査の目的は次の三つである。
- 人口統計学的属性によりセグメント化した成人学習に関するデータの取得。
- 取得されたデータに基づき、属性ごとにセグメント化した成人の学習ニーズ、学習行動、必要とされる学習支援に関する特徴を把握。
- 成人の学習環境整備に向けた基礎資料をエビデンスとして提供。
-
研究方法
作成した質問紙をインターネット調査会社に委託しデータを取得。